こんぶ土居

こんぶ土居

本物の味を伝える

最終更新日>2023/09/02
文責>いしはら 写真>若菜紘之


昆布専門店「こんぶ土居」

創業100余年。大阪市中央区・空堀(からほり)商店街に店舗を構えるこんぶ土居は、北海道函館の昆布の有数な産地・川汲浜(かっくみはま)で採れる天然真昆布やその加工品を扱う老舗です。

昆布はわたしたち日本人には外せない食材です。昔ながらの商いを守るこんぶ土居は世界の一流シェフからも大変な注目を浴びています。それは昆布の本場が日本ということでもあるのです。

こんぶ土居

1903年の創業以来、こんぶ土居は大阪の食文化を守り育て、本物を次世代に伝えることを使命と考えてきました。同時に、時代に合った便利でお求めやすい製品づくりや食品を見分ける正しい目を養い日本の文化の食事場を向上させるための啓蒙活動にも力を入れています。

こんぶ土居

昆布は羅臼、利尻、日高など数種類あり、産地で銘柄が分けられています。こんぶ土居の看板商品は「真昆布」です。真昆布は函館を中心とする道南地域で産出する昆布の中の昆布で、昆布の最高級に位置づけられています。川汲(かっくみ)浜が最も良質な産地です。

真昆布だけがその名前に地名を冠していないのは、古くから献上品として用いられた歴史があるからだそうです。「真(まこと)の昆布」、だから真昆布といいます。

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真昆布の中でも白口浜・黒口浜・折浜は「道南三銘柄」と呼ばれ珍重されています。

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上から順に、真昆布・羅臼昆布・利尻昆布・日高昆布

昆布は日本の食文化に欠かせない存在でありながら、だしを引いて料理する家庭は少なくなりつつあります。手間がかかるイメージがあるかもしれませんが昆布だしは実は簡単で、昆布を一晩水に漬けておくだけでおいしいだしが取れます。天然真昆布のだしは、強いうまみを含みつつ上品で澄んだ風味が特徴です。

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わざわざでは白口浜の天然真昆布と、日高昆布を取り扱っています。

こんぶ土居

日本の出し だしパック

日常生活にだしを取り入れてほしい思いから、こんぶ土居ではだしパックもご用意しています。白口浜真昆布と鹿児島県産鰹枯節が分けてパックされていますので本格的な手順でだしを引けて、濾す手間は省けるというすぐれものです。

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標準十倍出し

最も簡単にだしを味わえるのが、水で薄めて使う「十倍出し」です。人気のグルメ漫画でも紹介されたという十倍出しは化学調味料や各種エキス類などを一切使用せず、天然原料のみを使用。まず最初にお湯で十倍に薄めて飲んでみました。ああ、これが本当の味だ!と再確認できました。

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十倍出しの副産物を利用した「しっとりふりかけ

昆布の佃煮やふりかけ、おやつ昆布といった加工品にもこだわりが。伝統製法で作られた調味料を使い、食品添加物は一切使わずに仕上げています。見せかけのおいしさではない、先人が作り方を編み出した本物の味。自然の素材と技術が醸し出す滋味を味わってみてください。

良い食品づくりの会。

こんぶ土居

こんぶ土居は「良い食品づくりの会」に生産者会員として加盟しています。

「良い食品づくりの会」は、健康と美味しさを求めて消費者に安全で美味しい食品を提供する目的のために結成された会です。『良い食品の4条件・良い食品を作るための4原則』を基本理念に、商品研修や学識経験者を招いての勉強会、工場見学などを定期的に行っています。

昆布に今、何が起きているのか

「だし」は日本の食文化の根幹をなしていて、もはや意識することもない位に、あって当たり前の存在かもしれません。でも実はだしを取るために不可欠な昆布が危機的状況にあるのをご存知でしょうか。

2023年6月に4代目店主・土居純一さんのもとへ取材に伺ったところ、お話の端々から未来への危機感を感じ取りました。

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