Inswirl

Inswirl(インスワール)

長野に根ざし、小さく作る

最終更新日>2021/03/03
文責>平田はる香 写真>若菜紘之

 

長野市のライフスタイルブランド
Inswirl(インスワール)

インスワールとの出会いは、わざわざにしては珍しい形で始まった。おかげさまで店としての知名度が段々と上がってきたのもあって、わざわざには毎日と言っていいほどの商品取り扱い依頼が舞い込んでくる。すべてのものに目を通して、興味のあるもののカタログを取り寄せ、サンプル品を購入して使用してみたり、生産地や工房に足を運んだりしてみるのだが、売り込みから取り扱いに至るケースは殆どないといっても過言ではない。

あまりにも上からの発言で気を悪くしないでほしい。会社のコンセプト、商品のデザイン、トレーサビリティなど商品選定基準に照らし合わせると、なかなか取り扱えないというところが正直なところだ。大切なお客様に信頼してもらうにはそのくらいの気概が必要なのだ。買ってよかったと思ってもらうには、商品にそれなりの理由がなければならない。

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インスワールの和田さんは、何度もわざわざにアプローチしてくださった。メールでやり取りさせて頂き、その内容が誠実でとてもいいなと思ったこと、会社のコンセプトが長期的な視野を見据えていてとてもいいなと思ったこと、商品を見せに来てくださるとのこと。いろんないいなが重なって、長野市のお店と工房を訪ねてみることにした。

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2WAY TOTE BAG

インスワールはご夫婦で営まれているブランドだ。革の製品を中心に扱っており、和田美名子さんが職人として革製品をハンドメイドし、和田侑さんが他の商品企画や生産管理などをしている。革は年間60万頭以上が害獣として駆除されている野生鹿の革を使っており、革を鞣す工程でも重金属や化学薬品を用いず、敏感肌の方や赤ちゃんが触れてもよいように配慮が施されている。衣類も日本製にこだわり、オーガニック素材やリサイクル素材、天然繊維を中心に展開している。

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インスワール 和田侑さん

そのコンセプトに裏付けはあるか

最近はサスティナブルという言葉が一つの流行語にもなっており、大手のアパレルブランドや小さなメーカーまでが環境に配慮した商品を作っているという。オーガニックコットンを仕入れて縫えば、それはサスティナブルなのか?という問題も出てきている。だから今このコンセプトを謳ってアプローチしてくる会社には少し穿った見方をしてしまう。

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WOOL KNIT PULL OVER

そこでインスワールの商品を拝見し、ひとつひとつの製品の説明を受けながら産地のことや素材、縫製などのことを丁寧に説明してもらった。一朝一夕で仕入れた情報を話しているわけではなく、現地に足を何度も運んでいることが、侑さんの話からよくわかる。ブランドを作った経緯も聞いて納得した。お二人はアパレル業界のOEM商社で出会っており、侑さんは生産管理や営業などに携わり、美名子さんがデザイナーとして携わっていたということだった。

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個の時代に応える

プロの現場でやってきた人たちが、小さな自分たちのブランドを立ち上げた。小さなところから大きなところに行くのとまた違うのが面白かった。大きな生産の流れや工場のサイクル・アパレルの基礎知識を持ちながら、小さく生産する。長野という地域の特性が活きているし、こういう地に根ざしたブランドがもっと増えたら面白いなと思った。人々の趣向は細分化していて、全ての人が同一のブランドを欲しがる時代は終わりかけている。顧客の要望に応えながらカスタマイズされていく商品は、これからもっと面白くなっていくだろう。

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WOOL KNIT LONG CARDIGAN

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WOOL KNIT PULL OVER

その後、侑さんが改めて問touに立ち寄ってくださりお話したり、新製品ができたという案内をいただき店舗に伺ったりと行き来を繰り返して、先行で問touでの販売が始まった。まずはニット製品からご紹介いたします。段々と増えていくラインナップを楽しみにしていてください。これから様々な取り組みをできたらと考えています。