青空読書会

青空読書会の
楽しみどころ

最終更新日>2022/05/19
文責>ワタナベ 写真>若菜紘之


新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか

各々が各々のペースで、思うがままに担当の章を読みます。

「みんなで一冊の本を分担して読み、学びを深める読書会」

青空読書会の内容をひとことで端的に言い表すとこの通りなのですが、それだとどうしても難しい印象が先行してしまう気がしています。しかし実際は、読書があまり得意でない方や、内容をまとめる・意見を伝えるのが得意でない方にもおすすめしたいイベントでもあるのです。

青空読書会 3つのポイント
1,本1冊を読了するよりハードルが低く、担当の章にだけ集中して読み深めることができる。

2,難しい本や普段読まない本でも、他の人のまとめた要約や意見を聞くことができる。一人ですべてを理解しなくてよい。

3,紙に書きながら脳内をまとめる時間があり、整理がしやすい。
新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか

写真は第一回読書会の様子。参加者同士であらすじの共有と感想発表を。この時間が大盛りあがりでした。

担当の章だけを読めばよいので、よりじっくりと読み込むことができ、理解を深めることができる。また読んでみてまとまりきらない部分や理解しきれなかった部分があってもそれでよく、分からなかったことを共有すればそこを中心にみんなで話が進む。意見がまとまっていなくともそこから話は進んでいくので完璧を求める必要はありません。

新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか

読んだ内容を紙に整理しながら。これも担当の章を丁寧に読める利点のひとつです。

ひとりですべてを理解しようとしなくてよいのが魅力のひとつだと感じています。いつもと違う環境での読書というのも本の世界に入り込みやすく、(図書館や映画館で過ごす時間のように、環境が違うというのはまた心地よいものです。)楽しんでいただけるこのイベントの良さが少しでも伝われば幸いです。

新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか

参加費用には、イベント中・イベント後の飲み物とお昼のお食事、書籍代も含まれて3,000円(税込)。

そこで今回は第二回読書会の選書「新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか」を読んだ時のイベントの様子を簡単に紹介したいと思います。

「新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか」というタイトルを聞くと、科学的な難しそうなお話ではと想像されてしまうのかもしれません。実際に本の内容も難しい部分がありましたが、この読書方法も功を奏し、みんなで理解を深めることができました。参加者の方と楽しんだ読書体験の一部をご覧ください。

第二回 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか

新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか

「動的平衡」とは何か、をみんなで読み解きました。

自然環境が好きで生物学者になったという著者の福岡伸一さんは、ナチュラリストでもあります。近ごろではよく耳にするようになった「認知のバイアス」からこの本は始まります。

新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか

ある行動パターンをとったとき、その人の中にパターンとしてインプットされます。この行動と似たパターンを次に見かけると「こうなるだろう」と予測し、回数が重なると「こうなるに違いない」と思ってしまうのが「認知のバイアス」です。もしかすると違う結果になるのかも知れないのに、似たパターンを見ただけで思い込んでしまう人間の錯覚であり、性質でもあるといいます。このように科学的に証明されているものを噛み砕いて説明されています。

そんな「認知のバイアス」からネズミの実験の話に移り、人間にとって吸収とはなにか、そしてダイエットは科学的に説明できるという身近な話題が続くこの書籍、内容にどんどん興味を惹かれます。

新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか

読書会では参加者で各章に分けて一冊の本を読み進めます。

やがて、病原菌の話に入ります。今回の読書会では「第六章 ヒトと病原体の戦い」の担当をしたという代表平田。

(平田)マラリアと脚気の話を担当しました。マラリアはハマダラカという蚊が媒体する病気、脚気はビタミンB2不足により引き起こされる症状です。明治・大正の小説家、森鴎外氏はマラリアの研究もしていて、当時はいろんな菌が見つかったので脚気もなにか「脚気菌」といった菌があって、それから引き起こされる病気だと生涯信じていました。

(平田)その森鴎外氏を否定していたのが、ペスト菌を発見し近代医学の父として知られる北里柴三郎氏。脚気は菌ではない、ビタミンB2不足なのではと主張していましたが、非難されていました。それを信じてくれたのが福沢諭吉氏です。福沢諭吉氏が北里柴三郎氏にお金を出資し、北里大学ができた経緯があります。第一回読書会(本:現代語訳 学問のすすめ 著:福沢諭吉)と図らずもつながって嬉しかったです。

新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか

第二回は天気に恵まれ、気持ちの良い秋空の下で読書会は行われました。(冬は寒いので問tou店内で開催します。)

(平田)病原菌は種が同一でないと感染しません。人から人は感染しますが、牛から人には感染しません。近ごろでは鳥から人への感染もでてきましたが、基本的に同一種でないとあまり感染しません。人が人を食べるというカニバリズムは菌の感染を防ぐという点でも、合理的であるということ。菌に打ち勝つためには、抗生物質をはじめ西洋医学で発展していきますが、毎回ウィルスは医学に対抗し打ち勝っていきます。

だんだん内容が科学的な話に入っていきますが、生活に根ざした話も織り交ぜていますので、面白く読みすすめることができます。ミトコンドリアに人類の起源の話や「我思う、ゆえに我あり」のルネ・デカルト氏が唱えた「生命はパーツの集合体」から移植の概念が生まれた話や、考える豚の話を経て、生命とはこれまでどのように考えられ、どのようなものなのか紐解かれていきます。やがて「動的平衡」とはなにか、というところまで繋がります。

「動的平衡」とは何か、その答えが気になった方はぜひ「新版 動的平衡: 生命はなぜそこに宿るのか」を読んで見つけてみてください。

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