八幡屋礒五郎

八幡屋礒五郎

忘れられぬ、信州の味。

最終更新日>2021/12/25
文責>ワタナベ 写真>若菜紘之


山国・信州ならではの風味、八幡屋礒五郎の七味唐からし

八幡屋礒五郎

辛味と香りの調和のとれた独特の味わい。(写真左から 七味唐からし、ゆず七味、七味ごま、梅七味ごま

長野市鬼無里(きなさ)は安土桃山時代から江戸時代にかけて日本でも有数の麻(大麻)と和紙の産地でした。ここで生産された麻や和紙は商人たちによって江戸をはじめ全国各地に運ばれていきました。

江戸に向かった商人は、向こうで日用品や食品を仕入れては長野に持ち帰り善光寺周辺で売りさばいていて、その中に「七味唐辛子」がありました。その七味唐辛子を仕入れたのが初代の室賀勘右衛門さん、八幡屋礒五郎(やわたやいそごろう)の始まりです。

八幡屋礒五郎

唐辛子、生姜、紫蘇、山椒、陳皮、胡麻、麻種の7つの素材を調合して生まれる八幡屋礒五郎の七味唐からし

創業当時は遠方から大量に原料の調達ができない時代でしたが、幸いなことに、旧鬼無里村周辺の西山地方では七味唐辛子の原料となる七種のうち、陳皮をのぞく六種の栽培に適していました。

麻の産地であることから麻の実は事欠きませんし、山椒はもともと自生していました。残る唐辛子、胡麻、生姜、紫蘇を近隣の農家にお願いし、栽培をはじめました。陳皮のみ、これまでとおり江戸からまとめて仕入れてきました。このようにして他の地域とは異なる山国信州ならではの独特の風味を持った八幡屋礒五郎の「七味唐からし」が誕生しました。

創業より受け継がれた味

八幡屋礒五郎

おうどんにかけて。湯気に乗って七味が香ります。

1736年創業、江戸の時代から200年以上続く長野市善光寺の八幡屋礒五郎(やわたやいそごろう)の、今となっては定番の「七味唐からし」は、創業から受け継がれた味。善光寺の入り口のすぐ脇に店舗を構え、創業以来の定番商品である「七味唐からし」をはじめ各種の七味や一味を販売、店頭ではお客様のお好みに合わせた七味の調合を行っています。また、以前は唐辛子の多くを県外産や輸入に頼っていましたが、原点に戻って自社農園での長野県産唐辛子の生産に着手し、地元産原材料を増やす取り組みも続けています。

八幡屋礒五郎

背面には空と石畳の中に建つ善光寺が。

長野県内では、お食事処や各家庭、至るところに八幡屋磯五郎の七味唐からしが置かれています。赤と黄色の目を引くパッケージが目印です。そばに、うどんに、けんちん汁に、モツ煮に。お料理そのものでも美味しいのだけれど、七味唐からしがないとなんとなく物足りない。七味唐からしを振りかけることでさらに深い味わいに。

善光寺参りに来たら必ず買って帰りたい思う人も多いのではないのでしょうか。地元の人だけでなく長野の定番のおみやげとしても多くの人に親しまれている八幡屋磯五郎の七味からしです。

八幡屋礒五郎

現代の食卓にもマッチした様々な商品が開発されています。写真は梅七味ごま

現代では東京、京都、そして長野のそれぞれの特色を活かして調合された七味唐辛子が「三大七味」として広く知られています。八幡屋礒五郎の七味唐辛子は、辛味を出すための唐辛子、辛味と香りを併せ持つ山椒・生姜、そして、風味と香りの麻種・胡麻・陳皮・紫蘇の長野県産の七つの素材をバランスよく調合。辛味と香りの調和のとれた独特の味わいになっています。一度口にするとなかなか忘れられぬ長野の定番の味、ぜひお楽しみください。