山神果樹薬草園

山神果樹薬草園

円を描くような、持続可能なものづくり。

最終更新日>2022/02/25
文責>ムラヤマ 写真>若菜紘之


山神果樹薬草園

山神果樹薬草園

山神果樹薬草園は、安全性と環境性、そして有用性のバランスを保った石けんなどのボディケアアイテムを製造・販売する松山油脂が新たに展開する、食品や飲料を主に取り扱うブランドです。松山油脂では、ボディケアアイテムを製造する際に原料などに使う柚子などの「精油」なども、できるだけその製造背景をお伝えできるように、自社にて果実から精油を抽出して使用するなど、背景が明確に見えるものづくりを行なっています。

しかしその精油を抽出する際に使用するのは果実の外皮のみ。通常の柑橘系精油は「圧搾法」と呼ばれる果肉も含めて皮ごとまるごと潰して遠心分離機などで抽出する方法が多いですが、松山油脂では、柚子の外皮だけを削ってその外皮から抽出する「ペラトリーチェ(皮なし圧搾)製法」で精油を抽出しています。そうすることで、果汁に含まれる雑味のようなものが含まれることなく、外皮のみから抽出された柚子の香りそのものを楽しめます。

その香り高い精油を抽出した後に課題となるのが、残った果実をどうするか。外皮だけを削って精油を作ると、果実1つに対してわずか2%ほどしか使用することはありません。ここで新ブランド「山神果樹薬草園」の取り組みが結びつきます。山神果樹薬草園では、単に皮を削るだけでなく、あとに残った果汁や果肉を有効利用して使い切るというコンセプトのもと、果実を無駄にしない商品づくりが行われています。目指すのは、和柑橘を余すことなくすべて使い切り、そこから生まれる収益を村や農家さんへ還元し里山を元気にする、円を描くような「循環型農業」です。

果実を無駄にせずに使い切る

山神果樹薬草園

搾った果汁を濾さずそのままジュースにしています。まるで家で手搾りしたような果実感が味わえます。

搾油のために皮を削ったあとの果汁は、しぼり酢やジュースなどの食品にしています。特徴的なのは、「皮を削ったあと」に果汁を絞り出しているという点。この順序により、外皮特有の苦味やえぐみがほとんど含まれず、すっきりとした味わいに。皮が有する味わいが好きな方や、果肉のみの味わいが好きな方、いろんな好みの方がいらっしゃると思いますが、山神果樹薬草園の、すっきりとした味わいが好みな方も多いかもしれません。

山神果樹薬草園

精油や果汁を取り出したあとの果肉などを有効に活用したジャム作りも。

精油を抽出したあとには、果汁以外にも、内袋やパルプ(繊維質)、果肉などが残り、それらは果実の70%にもなります。山神果樹薬草園では、一部をジャムやドレッシング(ドレッシングは徳島のファクトリーストアや一部直営店のみの限定販売)の素材にしています。それでもすべてを使い切ることは容易ではありません。

そこで山神果樹薬草園では、より果実を無駄にせず丸ごと使い切ることを目標に様々な取り組み・研究を行なっています。例えば今研究・検討しているのが柑橘の酵母によるアルコール(蒸留酒)の醸造。なかなか使い切れない柑橘の内皮を使用して、発酵アルコール、クラフトリキュール、クラフトシロップを製造することを目標にしています。

もうひとつの取り組みが現在進行中の堆肥づくり。搾汁残渣(ざんさ)に関して、堆肥としての有効利用が始まっています。有機菌床堆肥と呼ばれる堆肥づくりは搾汁残渣だけで作るのは難しく、副素材として佐那河内村から車で30分の小松島市にあるシイタケ農家さんから買い入れたシイタケ菌床を使用。他にも果樹の剪定木や手入れが行き届かず荒れてしまった近隣の竹林の竹も伐採し粉砕機でチップ・パウダー状にして使用し、自社の敷地内にて堆肥を作っています。将来的にはこの有機菌床堆肥を、山神果樹薬草園だけでなく近隣の農家さんでもご活用いただけるよう検討しています。

他にも搾油で使用した外皮を使った「果皮染め」を施したオーガニックタオルを販売するなど、とことん無駄にせず、最後の最後まで使い切る取り組みはとどまるところを知りません。

里山を元気にするような循環型農業

山神果樹薬草園

しぼり酢とは「酢」ではありません。徳島や高知では香酸柑橘果汁を搾ったものを「酢」と呼んでおり、地域になじみのある呼び名で「しぼり酢」と名付けました。内容は果汁そのもののストレート果汁です。単体で飲むには酸っぱいですが、レモン果汁のように調味料や炭酸水、お湯割りなどで楽しむことができます。

果実を丸ごと使い切ることと合わせて、山神果樹薬草園が目指す、里山を元気にするような循環型農業。その農業の地として、全国の地方自治体で6次産業化の指導をされている方に巡り会い、徳島県との接点が生まれ、徳島県佐那河内村(さなごうちそん)へたどり着きました。徳島県は柚子の生産量が全国2位。佐那河内村でもすだちや柚子をはじめ、阿波すず香・みかん・甘夏・檸檬など、時期折々の栽培が盛んです。

山神果樹薬草園はこの地域で、地元の農家さんにアドバイスをいただきながら、自社農園で和柑橘の栽培を始めています。また、佐那河内村の農家さんが栽培されているすだちや柚子などの和柑橘、近隣県の愛媛の伊予柑等も買い取らせていただきながら、地域の味わいを届ける製品を安定的に作り始めています。その中には例えば「規格外で出荷できない」ものも適正価格で買い取る取り組みも含まれており、地域とともに、農家さんとともに、里山から魅力を伝え、里山に還元し元気にする取り組みを行なっています。

それから里山を元気にする循環型農業は、現在農業の深刻な問題のひとつとしても知られる、収穫する担い手不足や、後継者不足、耕作放棄地の問題の解消も担っています。山あいに位置し、場所によって農園の勾配もかなりある佐那河内村もこの問題の例外ではありません。山神果樹薬草園ではこの地に農園や研究所だけでなく、お買い物が楽しめるファクトリーショップなども併設しながら、次世代の視点で何を為すべきかを考え、10年後20年後に地元に必要とされる存在を目指しています。

体の内側からもすこやかに

山神果樹薬草園

瓶は重いし、ゴミ捨ても大変という方も嬉しい、パウチタイプもございます。自分用、贈答用、シーンに合わせてお好きなパッケージをお選びいただけます。(写真は丸ごと皮削りの和柑橘ジュース

これまではボディケア商品を通して多くの人を肌からすこやかになるようサポートをしてきた松山油脂。新ブランド山神果樹薬草園では、体の内側からもすこやかになっていけるように、自然のおいしさをそのままに届けていきます。和柑橘自体の味を生かした、果実感溢れるフレッシュな味わい。家庭で搾って作るような果実感のある製品をお楽しみください。