お弁当食材

ものを通して産地とつながる

気軽に取り入れてほしい、地域ならではのもの。

最終更新日>2022/03/19
文責>鈴木誠史 写真>若菜紘之


“地域ならではの○○”

地域ならではの、と聞いて○○に入る言葉。何を思い浮かべますか?

例えば地域ならではの『味』。特産品がその地域らしいおみやげになったり、地域の味として根付いていたり。

例えばその地域ならではの『景色』。地域が持つ自然や歴史文化が人気の観光地となっていたり。

各地域には衣食住問わず魅力的なものが存在していて、それらが地域ごと独自の文化を作り出しています。

しかし、地域ならではの『産業』を思い浮かべた人は多くないかもしれません。

分かりやすく観光できるものと比べて、地域の産業は体感しづらく、地域ごとにある産業・産地に目が向けられることがないまま都市にものが流れていっている、その魅力に気づかれないまま使われているというケースもあります。

わざわざでは、自分たちで産地を訪ね歩くことも大切に考えています。良いと思うものをただ売るだけでなく、ものを通して産地のことを正しく伝えることもひとつ、お店の役割であると思うのです。

うなぎの寝床と久留米絣

うなぎの寝床という会社があります。“もんぺ”のメーカーという側面からご存知の方も多いかもしれません。

うなぎの寝床は「地域文化商社」を名乗っており、拠点である九州・筑後地域を中心に、地方の文化をさまざまな形で発信する取り組みを続けています。わざわざとうなぎの寝床は、地方の情報発信、地方からの販売という2点において似た形態を持ったお店。お互い開業まもない2012年頃からお付き合いを続けています。

夏には問touで「もんぺ博覧会」を開催。毎年続けている催しです。

うなぎの寝床の代名詞となっているのがもんぺです。わざわざでは履き心地がよい点、乾きやすい点といったもんぺの使い勝手の良さを繰り返し伝え続けていますが、忘れてはならないもんぺの魅力がもうひとつあります。

それは伝統があること。もんぺそのものにも伝統がありますがここはひとつ、生地と柄に注目してみてください。

そもそも、うなぎの寝床のもんぺ誕生のきっかけは久留米絣(※)の織物でした。うなぎの寝床 代表の白水さんが初めてもんぺを穿いたのは地域の物産館。伝統工芸の久留米絣による婦人服・呉服が並べられた中のひとつにもんぺがあり、その着心地のよさ、作られた背景の面白さから、いろんな人に着てもらえる可能性を感じたといいます。

久留米絣(くるめかすり):
起源は江戸時代後期の1800年頃とされる、福岡県南部・筑後地方で作られる絣。ゆっくり織られることで生まれる柔らかな生地の風合いと、多様な柄と模様のデザインが特長。第二次世界大戦で綿織物の生産が禁止され久留米絣も苦境に陥ることになりましたが、久留米絣の魅力を知る人、その文化を継承しようとする人が後を絶たず、1957年に『国の重要無形文化財』として指定されました。

うなぎの寝床は織元からの依頼をきっかけにメーカーの役割を担いはじめ、現在も久留米絣を用いたプロダクトを次々生み出しています。写真の「綿モール MUJI」は、久留米絣の織元とうなぎの寝床が共同開発した糸を使ったもの。

わざわざでは定番のコラボもんぺストレッチもんぺに加えて、セレクトもんぺも毎年異なるテーマで製作を続けています。セレクトもんぺはうなぎの寝床と協力し、久留米絣の織元で生地を選び、もんぺに仕立ててもらっているシリーズ。もんぺを知ってもらうほか、久留米絣にも親しんでもらえたらという想いです。

2021年は『色鉛筆』をテーマに28色のセレクトもんぺを製作。色・サイズによってはまだ販売中のものもあるので、久留米絣デビューにぜひ!

久留米絣を気軽に体感してみる。

久留米絣のためのハンカチ」:ゆっくりと織られたやわらかな風合いは久留米絣ならでは。

うなぎの寝床による、久留米絣のためのハンカチ。(気軽に手にできる)ハンカチを通して久留米絣を知ってほしいという思いが込められたプロダクトです。

ハンカチのサイズは24cm×約37cm。この寸法には久留米絣ならではの意味があります。

シャトルを用いて織り上げられる久留米絣。図案1柄分の糸を織ると長さは24cmに。そして小幅のシャトルで織られるため幅は37cmに。サイズも含めて久留米絣の特徴を最大限活かしたハンカチなのです。

これがおおよそちょうどポケットに収まる使い勝手のよいサイズ感。綿100%で吸水性がよく、生地も柔らかい。使い込むことでより柔らかな生地感を味わえるのも、久留米絣のハンカチならではの魅力ではないでしょうか。

現代のわたしたちには、日常的に久留米絣の呉服を着る機会がありません。しかしこのようにもんぺやハンカチなどの日常のものを通して、産地や地域文化に触れることができます。

うなぎの寝床の「産地コラボもんぺ」(写真は遠州織):日本各地にある産地の生地とコラボしたシリーズ。各産地によって生地の重さや柔らかさ、色合いや表情に至るまで異なる特長があり、定番とはまた違った良さがあります。

ものの良さに魅力を感じて使い続けていただけるのももちろん嬉しいことですが、ものの先に産地や地域文化があること、そしてそこに暮らす人がいるということもぜひ知って、ひとつ生活に取り入れてみてください。購買という行為が、なんだか自分のためだけではない行動へと変わっていく気がしてきませんか。

『よいと思って買ったものが実は○○だった』と分かるのも良いこと。ですし、ものを買う先にはものが作られた産地があり、そこに人がいることも知ってもらえたらそれも嬉しく思います。それは「全ては誰かの幸せのために」というわざわざの精神に通じます。

わざわざでは乙なものという取り組みも行っています。「訳ありだけれど使用上問題がないもの」に価値を見出し、購買が生まれることで、お金は関わった人たちのもとへ正当に渡っていきます。

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