
乙なもの
普通とどこか違ったものを
愛おしむ文化をもう一度
最終更新日>2022/12/28
文責>鈴木誠史 写真>若菜紘之
【目次】 ・乙なものとは? ・味わいを愛おしむ文化をもう一度 ・乙なものを買うということ ・乙なもの 例のご紹介 ・アップサイクルの意識で ・2023年元日発売「乙なもの箱 二〇二三」 ・乙なもの販売ご協力メーカー
「乙なもの」と呼びましょう

「乙」という文字には様々な意味があります。
- 何かと比べて2番目であること。
- ちょっと気が利いていて趣のあるさま。
- 道理・理屈。
- 物事の具合、調子。
全国各地の工場を訪問する中で、多くの工場に行き場のない在庫があるという事実を目にしてきました。厳しい検品基準を満たせずに正規品から除外された商品が数多く残っていて、工場の方々の悩みの種になっているのです。
しかしそうした商品の中には、「不良品」とするにはあまりに惜しいような、使用する上で全く問題のないものが数多くあります。たしかにちょっと訳ありだけれど、それも見方を変えれば、他と違った個性のうち。
そう思える商品を「乙なもの」として、わざわざが工場から買い取り、きちんとご説明した上で販売するという取り組みを2019年からはじめました。

「乙なもの」は使用に問題がないものです。例えばハサミポーセリンでは、飲食店向けにこのような器を少し安価に卸すといった取り組み例もあると言います。
また、メーカー各社にご協力いただき、わざわざが「乙なもの」と定義した商品(例えば、焼きムラや釉薬のたれが一部見られる陶磁器、織りキズのある布製品、正規品と変わりないが長期間倉庫に置かれていた商品など)を買い取らせていただき、それらを組み合わせ、お楽しみいただけるよう「乙なもの箱」の販売をはじめました。毎年元日から販売する特別な企画となっています。

わざわざスタッフ総出で「乙なもの箱 二〇二三」のセットを組みを行い、全11種類、100箱を超える乙なもの箱をご用意できました!

「乙なもの箱」の詳細はこちらです。
味わいを愛おしむ文化をもう一度

あばたもえくぼ、侘び寂び、景色、個性。普通と違って面白く味わいがあるものを愛でる古来からの文化をもう一度。
日本には「あばたもえくぼ」という諺があります。「侘び寂び」といったわびしいことや悲しげなことの中に美しさを見出す言葉もあります。また、陶磁器には古来から、焼きむらや釉薬のたれを「景色」と呼び、愛でる文化も醸成されてきました。
大量生産消費の時代にクレームとなる怖さから、メーカーは検品基準を上げて日本のものづくりの品質基準を上げてきました。ですが、工業製品でもよいとされるものを100%作れるわけではありません。あばたや侘び寂び、焼きむらが存在することがあります。

これら全て、乙なもの。
人間が一人ひとり違うように、生まれた商品も全て均一に製造されるわけではありません。そんな当たり前のことを忘れてしまうのは余りにも悲しいことではありませんか。
許容値を広げ、あえて普通とどこか違ったものを愛おしむ文化をもう一度とわざわざは考えています。わたし達は、甲乙丙の基準の中の乙まで販売しても使用に問題がない「おつなもの」として、これからも正規品として販売していきます。
乙なものを買うということ

今回乙なもの箱にご協力いただいた東屋より「今回のわざわざの『乙なもの箱』の取り組みによって、乙品をかなり減らすことができました」とのお話を頂くことができました。しかしその後も少なからず乙なものは出ているといい、この取り組みを続けていく必要を感じます。
乙なものを購入すること。それは、行き場を失ってしまった商品を受け入れること。そして、工場・製造元、ひいては産地・地域を支えることに繋がります。この取り組みが1人でも多くに広まり、購入してくださるお客様が増えることで、工場の方々が抱える悩みの種はひとつずつ解消されていくはずだと考えています。
乙なものであっても、関わる人の多さは正規品と変わりません。木製品であれば産地で木を育て木材となるところから始まり、工場や職人たちが製造を担い、そしてメーカー、販売店へと渡っていきます。その間を物流などでつなぐ人もいますし、産業があなたの町を支えていることもあるでしょう。
一度、お金を使って「ものを手に入れる」という行動に留めることなく、お金を通して「ものを手に入れるまでに関わってきた人」を思い描いてみませんか。
楽しみにしていたわざわざさん @waza2stock の乙なもの箱 其の弍が届きました。
— 庄子 さおり|京屋染物店en・nichi (@shoji_ennichi) January 6, 2022
少しでも日本のものづくりの支えになればと思い購入を決めましたがぜんぶ使えるものばかり。
わざわざさん、ありがとうございました◎#乙なもの #東屋 #松野屋 #育陶園 #藤芸 #ハサミポーセリン #アイザワ #KINOF pic.twitter.com/9P8i3YXOfK
2022年の#乙なものキャンペーンにご応募頂いたお客様より。「乙」を通してものづくりの背景を想像してくださったこと。とても嬉しく思います。
わざわざでは「お金はコミュニケーションのツールである」と捉え、お金を渡した先には何があるのか想像することを大切に考えています。「訳ありだから」という理由で見放されてしまえば、ものづくりに関わった人のもとへお金が渡ることもなくなってしまうでしょう。
「訳ありだけれど使用上問題がないもの」に対し「乙だね」と価値を見出し、そこに購買が生まれることで、お金は関わった人たちのもとへ正当に渡っていきます。
そしてお客様は「乙」である分、少しお得に製品を生活に取り入れることができます。渡ったお金が、お客様も含め、関わった人たちが暮らす社会に還元されていく。乙なものの購買を通じて、そんな循環を感じていただけたなら嬉しいです。
例えばこんな乙なもの

例えば木製品では、写真のような虫食い跡(人工乾燥をしているため虫はいません)や、木目の節の色が悪いもの、使用上問題無い程度の僅かな割れや欠けが。

布製品などでは繊維のほつれや繊維の飛び出しなど。

器ではキレや

釉薬のキレ、釉薬が載っていない部分が見受けられたり

意図しない部分に釉薬が付いてしまったもの

若干の反り、歪み、正規品と比べサイズが大きく仕上がってしまったものなどがあります。

日用品では使用には問題のない小キズなどが見られます。

他にもメーカーさんが製品を生む際にできたサンプル品や、製造したものの余 剰となってしまった製品など、

乙な理由はそれぞれ。丁寧な姿勢を貫くメーカーだからこその、丁寧な検品、妥協のないものづくりを改めて感じます。
上記で挙げた以外にも様々な理由で「乙なもの」となった商品をお届けします。日常で使用する分には問題のない商品たちをぜひご家庭で愛用いただけたら嬉しいです。
アップサイクルの意識で
乙なものを販売すること。それは単に値引いて販売し、眠っている在庫を減らしたいという取り組みではありません。
使用上問題はないものの、検品基準をわずかに満たさなかった商品について、ハサミポーセリンは「『B品として販売』ではなくアップサイクルの意識で販売していきたいと考えている」と話していました。わざわざの乙なもの箱へも、その観点から賛同とご協力を頂きました。

「乙なもの箱」の企画趣旨を各メーカーさんにお伝えしたところ、私たちが当初想定していた以上の数の乙なものが集まりました。1点1点丁寧にものを作り、検品し、お届けしているメーカーさんが多いからこその、細部まで妥協のないものづくりを改めて感じます。その背景には少し個性を有した「乙なもの」もあるということを、きちんとお客様へ伝えながら販売機会を増やしていきたい。
例えば贈りものには不向きかもしれないけれど、家庭で使う分にはまったく気にならないという方もいらっしゃるかもしれません。乙なものが持つ個性と同じように、私たちにも一人ひとり異なる考え方や感じ方があります。多様な考え方、多様な選択肢のひとつに「乙なもの」を加えていただけたなら幸いです。

持ち物全てが乙なものである必要はありません。持ち物のひとつになった乙なものは、あなたの暮らしに自然と馴染んでいくはずです。
乙なものという選択肢があることで、知らず知らずのうちにモノに対して寛容になっていて、ものづくり全体への助けにもなっていく。このような循環になればという思いです。「ものづくりを応援したい」「少しお得に購入できるから」「気兼ねなく使えるから」。どんな理由であっても乙なものを選択肢に入れてくださる皆さんに感謝をお伝えしたいです。
開けました。しっかり使えるものが、お得に購入できて大満足。ハサミポーセリンのプレートとボウルセットは、お重の代わりになりそう。今年はお花見できるかなぁ。#わざわざ #乙なもの pic.twitter.com/VNjgRaX3Zu
— ユウ (@ldgBooks) January 10, 2022
2022年1月の#乙なものキャンペーンにご応募頂いたお客様より。乙なものは作り手にとってだけでなく、使い手も同じように喜べる取り組みでありたい。「全ては誰かの幸せのために」というわざわざの精神に則っています。
乙なもの箱 二〇二三
2023年元日より、内容新たにリニューアルした「乙なもの箱 二〇二三」を発売します! どのセットも、日頃の感謝の気持ちを込めてお得になるようセットを構成しました。
乙なもの箱 二〇二三は、種類豊富に全11種類の箱をご用意しました! 2022年の乙なもの箱を購入されたお客様も、初めてのお客様も、よりお好みに近いものをお選びいただける仕組みです。
価格は一律\20,000(税別)で、どの箱にも価格にしておよそ\30,000以上に相当する乙なものをお入れしています。特に中身が秘密のバラエティセットは、\35,000〜\50,000相当が入っており、乙なもの箱 二〇二三の中で最もお得感ある箱となっています。

セット1:東屋の萩焼、虎仙窯の鍋島焼を中心としたセット。※写真はセットの一例です。

セット2:ハサミポーセリンの器を中心としたセット。※写真はセットの一例です。

セット3:ティータイムに活躍するポットやカップを中心としたセット。※写真はセットの一例です。

セット11(バラエティセット):中身は秘密!3万5,000円〜5万円相当の実用的な道具が入っています。
乙なものは種類が多く、それぞれ個数が限定されています。ですので、例えば同じ「セット01」の箱でもそれぞれ内容が少しずつ異なります。乙なもの箱 11種類の全貌はぜひ、販売ページでご確認くださいね。
乙なもの箱の販売にご協力いただいたメーカー
「乙なもの箱 二〇二三」の販売におきましては、メーカー8社にご協力いただきました。この場を借りて御礼申し上げます。ありがとうございました。
東屋(東京)

乙なもの商品例:汲出し、ふきん、平皿、チーズボード、湯呑ほか
日本の素材と技術を活かし、細部にまでこだわったクオリティの高い商品を生み出している東屋(あづまや)。東屋の商品は改めて日本の技術の素晴らしさを伝えてくれると共に、現代の生活に違和感なくとけ込み、時が経つにつれ味わい深くなる商品ばかりです。
松野屋(東京)

乙なもの商品例:コットンキャンバスバッグ、さき編みバッグ、アルマイトちゃぶ台ほか
大量生産品でも美術工芸品でもない、ちょうどその真ん中にある“ちょうどいい”暮らしの道具を扱う松野屋。それらは「便利に使える」というだけでなく、美しいから使いたくなり、使うほどに美しいと感じるものばかりです。生活の中で長く使うことのできる荒物を幅広く扱っている会社です。
アイザワ(新潟)

乙なもの商品例:お玉、キャニスター、ボウル、フライパンほか
大正11年創業の新潟県燕市の老舗メーカー、工房アイザワ。日常生活に必要なものを必要最小限に削ぎ落とし美しくデザインし作られた品は、長く飽きずに使うことができます。普段使いの美しい日用品は家事の一つ一つを心地よくしてくれます。
籐芸(三重)

乙なもの商品例:箸置き
籐芸のカトラリー類は、日本のメーカーが使いやすさにこだわって開発し、インドネシアの自社工場で作られています。大量生産に頼るのではなく、全てに手間をかけて誠心誠意込めて作っていることに共感し、わざわざで販売させていただくようになりました。
KINOF(徳島)

乙なもの商品例:タオル、スポンジ、マスク
徳島県の中央部、約1500人が暮らす上勝町。四国で一番小さな町ながら、平成15年には未来の子供達に美しい空気や水、大地を継承するため「ゼロ・ウェイスト(ごみゼロ)宣言」を日本で初めて発表しました。この町で循環経済を目指す活動から産声をあげたKINOFは、地元産の間伐材を使用したファブリックブランドです。
虎仙窯(佐賀)

乙なもの商品例:茶碗、飯碗ほか
佐賀県伊万里市で、青磁の製作と絵描きを代々行ってきた「虎仙窯」。1675年、将軍への献上品を作るために生まれた鍋島藩直営の藩窯「鍋島焼」をツールに、その伝統技術と最良の青磁鉱石を現代まで継承している窯元です。
ハサミポーセリン(長崎)

乙なもの商品例:プレート、マグカップ、ティーポット、ボウルほか
波佐見焼を現代のコンセプトで再定義するテーブルウェアとして生まれたHASAMI PORCELAIN。単一の工場で大量生産される食器と異なり、釉掛けをはじめ多くの生産工程で職人の手仕事が欠かせません。また複数の窯元が関わる分業制で作られた波佐見焼ならではの、個性を有した陶磁器本来の魅力を全国、海外にまで届けています。
育陶園(沖縄)

乙なもの商品例:お猪口、飯碗、プレートほか
沖縄で300年続く壺屋焼の窯元・育陶園。沖縄県内最大の工房であり、2017年には総勢30名の仲間と共に、沖縄の土・手作りの釉薬にこだわり、一つ一つ焼物を生み出しています。量より質を大切に、作り手も売り手も使い手も納得のいく「形と価格」を目指して、新しい壺屋焼の表現に挑戦し続けています。
皆で箱の中身を共有しよう
#乙なもの キャンペーン

抽選でわざわざオリジナルステッカーをプレゼント
乙なものをひとつ残らず、受け入れてくださる方のもとへきちんとお届けしたい。そのためにはこの取り組みをたくさんの方に知っていただかなくてはなりません。キャンペーンという形で、どうかお客様にもご協力をお願いさせてください!
2023年の「乙なもの箱」を購入された方を対象に、箱の中身を撮った写真とそのご感想を、ハッシュタグ #乙なもの 付きでSNSにぜひご投稿ください。抽選で10名様にわざわざコーポレートサイトでおなじみ、イラストレーター 芦野公平さんのイラストが入ったわざわざオリジナルステッカーをプレゼントします。
本キャンペーンはTwitterまたはInstagramにて応募を受け付けています。応募受付期間は2023年1月31日(火)23:59までとなっております。所定の条件がございますので、以下の応募方法をご確認の上、ぜひ奮ってご応募くださいね。
2022年の#乙なものキャンペーンにご応募頂いたお客様より。『自分も「おつなひと」になった気がする』、素敵な考え方です…!
乙なもの箱が届いて、「これなら全然気にならない」と乙な理由を許容してくださったり、「なるほど、乙だね」と魅力を感じてくださったり。実際にそんなお声をお客様から頂いており嬉しいばかりです。
みなさんの投稿を拝見しながら、今後も乙なものの取り組みを継続して、より多くの方へ伝えていきたいです。キャンペーンへのご応募、心よりお待ち申し上げます!