木村石鹸

木村石鹸

気持ち良さとは何だろう。

最終更新日>2021/03/03
文責>すずきくん 写真>若菜紘之


大正13年創業の石鹸メーカー
木村石鹸

木村石鹸

真ん中が木村石鹸代表・木村祥一郎さん。

大正13年(1924年)に大阪で創業した木村石鹸。石鹸作りに魅了されたという創業者の石鹸愛からはじまり、現在も変わらず「釜焚き製法」という伝統的な手法を用いた、職人の手作業による石鹸作りを続けています。

木村石鹸は、決してアピールとしてではなく、本質を見極めた「安心・安全」の製品作りを追及しています。純石鹸成分だけだと使用量が増えてしまい結果的に環境にやさしくないと判断したなら、生分解性に優れた合成界面活性剤を適量使用し本当の意味で環境に配慮する。しっかりとした科学的根拠に基づいて「安心・安全」なものを開発し、生活者、環境ともに配慮したバランスの良い製品を届けています。

その根底には厳しい品質基準を持つ生協(コープ)でOEM商品の開発製造を20年以上にわたり手がけてきた歴史があります。職人の技術と品質の高さを強みに、現在は自社ブランドの洗浄剤を種類豊富に展開しています。

木村石鹸

生活者と環境に配慮し、バランスの取れた「安心・安全」を。

わざわざでは、石鹸と天然素材のみで作る洗剤「SOMALI」シリーズと、シャンプー&コンディショナーの「12/JU-NI」シリーズを取り扱っています。

生活者の実感に寄り添ったものを

木村石鹸のSOMALI

木村代表は自社ブランドのSOMALIについて「最終形と思って作っている」と話す。要は、余分な機能を付け足さないということ。

スーパーやドラッグストアで一般的に流通している洗剤は、新しい機能(成分)が加えられた新商品がシーズン毎に登場することが多い。人の暮らしから出る汚れが数年で大きく変わることはないが、洗剤は数年でより強力なものへと変化している。

毎日繰り返し洗濯する上で、本当に必要なのは洗浄力の強さなのだろうか。SOMALIは生活する人の実感に寄り添った、必要充分な機能だけを持つシンプルな洗剤である。

バリエーションは洗濯洗剤からボディ/ハンドケア用、キッチン用、トイレ用、風呂掃除用までと多岐にわたるが、場所により異なる汚れに特化して配合を調整しているという。どれも自社で作る純石鹸成分をベースに作られている。

せっけんの良さは歴史の長さ。

洗剤の主成分である界面活性剤は2種類に分かれる。1つが「石けん」、もう1つが「合成洗剤」。石けんに分類されるものは100%天然成分由来であるものだけで、それ以外の石油由来のものなどは「合成洗剤」と表示される。

木村石鹸

「石けん」か「合成洗剤」かは、品名表示を見れば一目瞭然。

現在、スーパーなどで販売されている洗剤のほとんどが合成洗剤である。利便性やコストパフォーマンスから消費者に支持され、1960〜1970年代ごろの洗濯機の普及とともにシェアを広げてきた。

合成洗剤のメリットは、大量かつ均一に洗えるような強い洗浄力を持つ点。一方で、その強さゆえに手肌・衣服・環境への負担が大きくなるのがデメリット。では、石鹸はどうか。

石鹸は水できれいにすすぎ落とせるため、油分を落としすぎずに洗えるのがメリット。植物性繊維向きで、コットンや麻などを洗ったときに気持ちよく仕上がる。デメリットは合成洗剤と比べて一度の洗濯に必要な量が多いこと。洗浄力を保つためにしっかりと石鹸を泡立てる必要があるからだ。

木村石鹸

木村さんは、合成洗剤も近年は良いものが増えていると前置きした上で「石鹸と合成洗剤とでは、蓄積されたときの安全性が違う」と話す。

紀元前からあるといわれる石鹸には歴史があり、長い年月をかけて蓄積されても問題が起きないことがわかっている。20世紀はじめに誕生した合成洗剤は実験上安全とされていても、まだまだ歴史の浅いもの。何十年・何百年と蓄積された後に何が起こるかはまだ誰もわからないのだ。

本当のエコはどちらか。

木村石鹸

ある日の全体MTG(わざわざの全スタッフが参加する会議)に木村さんが参加してくださった。取り扱いを始めるにあたり、木村石鹸の考え方を伺う。

前述の歴史背景ひとつで考えると「石鹸は良いもの」「合成洗剤は悪いもの」と単純に判断しがちだが、決してそうではない。木村石鹸では石鹸と合成洗剤どちらの商品も製造し販売している。両方を手がける企業は他にあまり類を見ないが、これについて木村さんは、いずれもメリット・デメリット、向き不向きがあり、石鹸だけを信奉することの危険を訴える。

石鹸の使用量の多さを考えたときに、本当のエコはどちらか。「石鹸には面倒なところもある。石鹸じゃなきゃダメとは言いたくない」と木村さんは言う。一度の洗濯や食器洗いに対して、石鹸はより多くの量が必要になる。少量の合成洗剤で汚れを効率良く落とせることを考えれば、一概に合成洗剤が悪とはいえない。

木村石鹸

12/JU-NIは釜焚き製法の石鹸を使わない「合成」のシャンプーであるが、長年に渡って石鹸製造に向き合ってきた木村石鹸だからこその、ゼロから作った商品だという。

木村さん個人では、天然素材の服には石鹸を、汚れの激しいものや化学繊維には合成洗剤をと、何を洗うかによって洗剤を使い分けているそう(全部まとめて洗濯する際は中性洗剤を使うという)。

洗剤の性質を理解することも必要だが、何を使うべきかあまり難しく考えすぎても良くはないだろう。シンプルに使っていて気持ち良いと感じるものを選ぶことが、結局は衣服・人体・環境にとっても気持ち良い結果を生むことにつながっていくのかもしれない。